毎月末になるとExcelファイルが10枚以上開き、材料費・成形時間・不良数を手で拾い集めて原価を出す——そんな作業に2〜3日を費やしながら、「この製品、本当に利益が出ているのか?」という問いに即答できない状態が続いていませんか?
射出成形・樹脂成形メーカーが抱える原価管理の"Before"
射出成形・樹脂成形メーカーの原価管理は、他の製造業と比べて複雑な要素が重なりやすい構造を持っています。材料費(樹脂ペレット)の市況変動、成形機ごとの稼働コスト差、製品ごとのショット数・サイクルタイムの違い、そして不良ロスによる実質歩留まりの変動——これらを製品コード別・取引先別に正確に把握するには、相当な手間がかかります。
① Excel月次集計の属人化:材料費投入量・成形機稼働時間・不良数の集計をベテラン担当者だけが把握しており、その人が休むと原価が出せない。月次締め後に集計するため、値上がりへの対応が常に1〜2か月遅れる。
② 製品別・取引先別の紐付けができていない:成形機単位のコストは分かっても、「A社向けX部品の粗利率は何%か」を即答できる仕組みがなく、値上げ交渉の根拠データが用意できない。
③ 材料費高騰への対応遅れ:樹脂ペレットの仕入単価が変わっても、製品原価への反映は翌月以降。その間に採算割れ受注が積み上がるリスクを常に抱えている。
FlowSyncで何を作るか:3軸集計アプリの設計思想
FlowSyncを使った原価管理アプリは、「製品コード × 取引先 × 成形機」の3軸をキーにして、材料費・成形時間・不良ロスを自動集計する構造で設計します。プログラミング不要で内製できるため、現場の運用実態に合わせた柔軟な改修が可能です。
製品マスタには「製品コード・取引先コード・標準サイクルタイム・標準材料使用量・標準不良率」を登録。成形実績入力画面では「成形機番号・ショット数・実際不良数・作業時間」を入力。材料入庫テーブルには「仕入日・材料コード・数量・単価」を随時登録します。この3テーブルをFlowSync上でリレーション設定するだけで、製品別の実績原価が自動計算されます。
材料費は「実際使用量(ショット数×標準使用量)×最新仕入単価」で自動計算。成形機コストは「稼働時間×機械時間単価(円/時)」で算出。不良ロスは「不良数×材料費単価」を損失として加算します。これらをFlowSyncの集計フォーミュラで自動演算するため、実績を入力するだけで製品別製造原価が即座に更新されます。
「取引先別原価収益レポート.csv」および「製品別粗利率一覧.pdf」をワンボタンで出力できます。取引先ごとに「受注単価・製造原価・粗利率・前月比原価増減率」が並んだレポートは、値上げ交渉の場で即座に使える根拠資料になります。
画面設計のポイント:一画面で粗利・ランキング・アラートを把握する
ダッシュボード画面は3つのビューを1画面に集約する設計にします。それぞれが独立して機能しながら、クリックでドリルダウン(詳細展開)できる構造が重要です。
【製品別粗利率一覧ビュー】全製品コードを粗利率の高い順に並べたランキング表。粗利率15%未満の製品は自動で赤表示され、一目で採算ライン割れを検知できます。フィルタボタンで「取引先別」「成形機別」に絞り込みが可能。
【取引先別収益ランキングビュー】取引先ごとの売上・原価・粗利額・粗利率を棒グラフと数値で並列表示。「どの顧客との取引が最も収益に貢献しているか」が視覚的に分かります。
【材料費高騰アラートビュー】材料入庫テーブルに新単価が登録された瞬間に、原価への影響額と影響製品数が自動表示。「今回の樹脂単価上昇で、月間コストが+○万円増加する見込み」をリアルタイムで通知します。
画面遷移は「ダッシュボード → 製品別詳細 → 成形実績明細 → レポート出力」の4ステップで完結。「レポート出力」ボタンを押すだけで、取引先別値上げ交渉データが自動生成されます。
運用フローとAfter:受注から値上げ交渉まで"ゼロ手集計"で完結
FlowSync導入後の業務フローは以下のように変わります。
原価集計作業時間:月次Excelで2〜3日(担当者1名が専任)→ FlowSync自動集計で約5分(確認のみ)に短縮。
材料費変動の原価反映:翌月以降にしか反映できなかった → 入庫登録後リアルタイム(即時)で全製品原価に反映。
値上げ交渉資料の作成:担当者が半日かけてExcel加工 → 「取引先別原価収益レポート.csv」出力ボタン1クリックで約30秒で完成。
赤字製品の検知スピード:月次で事後把握(発覚まで最大30日のラグ) → ダッシュボードの粗利率アラートで当日中に検知。
具体的な運用フローは次の通りです。1受注確定時に製品コードと取引先コードを紐付けて登録 2生産完了後に成形実績(ショット数・不良数・稼働時間)を入力 3材料入庫のたびに最新仕入単価を入庫テーブルに登録 4原価が自動計算・ダッシュボードに反映 5月次または必要時に値上げ交渉用レポートをワンクリック出力——この流れが、現場の追加負担なく回り続けます。
FlowSyncのノーコード内製アプリは、業務フローが変わっても自社でその場で改修できる点が最大の強みです。成形機が増えた、取引先が変わった、材料の計算単位が変わった——どのケースでも、外注費ゼロで即日対応できます。2026年の製造業DXトレンドが示す「データ統合による全体最適化」を、射出成形・樹脂成形メーカーが現実的なコストで実現できる方法論がここにあります。
まとめ
- 課題の核心:射出成形・樹脂成形メーカーの原価管理はExcel月次集計・属人化・材料費変動への対応遅れという3つの構造問題を抱えている
- 設計の要点:FlowSyncで「製品コード × 取引先 × 成形機」の3軸アプリを内製し、材料費・成形時間・不良ロスを自動集計する仕組みを構築する
- 効果の実証:原価集計が2〜3日→5分、材料費変動の反映が翌月→即日、取引先別値上げ交渉データが半日→30秒で出力可能になる
- 次のアクション:まず製品マスタ・成形実績・材料入庫の3テーブル設計から始め、ダッシュボードの粗利率アラートで赤字製品を当日中に検知できる体制を目指す