受注が決まるたびにExcelのBOM(部品表)を手で展開し、在庫台帳と照らし合わせながら手配数を電卓で計算する——そんな作業を毎週繰り返している工作機械・産業機械メーカーの調達担当者は、今日も「どこかで計算が合わない」という不安と戦いながら部品手配をしています。
【Before】Excelと勘頼りで起きる所要量計算の現実
工作機械・産業機械・装置メーカーでは、製品ごとに数百〜数千点の部品を管理するBOM(Bill of Materials:部品表)が存在します。受注が入るたびに担当者はExcelのBOMファイルを開き、受注数量に合わせて必要数を手計算。そこに在庫数を目視で引き当て、発注点を超えた部品を別のExcelシートに転記して手配書を作成する——というフローが多くの中小メーカーで標準的な運用になっています。
① 展開漏れ・転記ミス:BOMの階層が深い(親部品→子部品→孫部品)場合、手作業での展開は1件あたり30〜60分かかるとされており、コピペミスによる数量誤りが月に数件発生するとされています。
② 在庫データの鮮度不足:在庫台帳Excelは複数担当者が個別更新するため「現在の正確な在庫数」が常に不明。引き当てが二重になり、欠品が発覚するのは製造着手直前というケースも。
③ 属人化と引き継ぎリスク:BOM展開のロジックがベテラン担当者の頭の中にあり、担当変更のたびにトラブルが再発。
【設計ポイント①】受注確定をトリガーにBOMを自動展開する画面設計
FlowSyncで所要量計算アプリを設計する場合、最初のポイントは「受注確定」というイベントを起点にした自動処理フローの構築です。
受注入力画面から所要量計算が自動起動するまで
受注管理画面で製品型番と受注数量を入力し、「受注確定」ボタンを押すと、FlowSyncのワークフローエンジンが起動。製品マスタに紐づいたBOMデータを多階層(最大5階層まで対応)で自動展開し、必要部品と必要数量の一覧を生成します。担当者が手でBOMを展開する作業は一切不要になります。
展開された部品リストに対し、リアルタイム在庫データベースから現在庫数を自動参照。「必要数量 − 現在庫数(引当後)= 正味所要量」を自動計算し、所要量計算結果画面に色分け表示します。正味所要量がゼロ以上(手配が必要)の部品は赤、在庫で賄える部品は青で表示されるため、担当者は結果を一目で確認できます。
同じ部品を複数の受注案件で使用する場合、FlowSyncのアプリは案件をまたいで正味所要量を合算。仕入先ごとの最小発注ロットや在庫のリードタイムを部品マスタに登録しておけば、「まとめ手配」の最適数量まで自動で算出します。
MRP(資材所要量計画)の核心である「何を・いつまでに・いくつ手配するか」を、ERPなしでFlowSyncアプリが代替できるのは、BOMマスタ・在庫データ・受注データの3テーブルをFlowSync上で一元管理する設計にあります。Excelでは不可能な「複数担当者によるリアルタイム同時参照・更新」がクラウドアプリとして実現します。
【設計ポイント②】購入品手配指示書の自動生成と仕入先ポータルの内製設計
所要量計算の結果が確定したら、次のアクションは仕入先への発注指示です。ここも従来はExcelや電話・FAXで行っていたプロセスをFlowSyncで完全デジタル化できます。
購入品手配指示書の自動出力
所要量計算結果画面で「手配指示書出力」ボタンを押すと、FlowSyncが仕入先コードで部品をグルーピングし、仕入先ごとの購入品手配指示書(PDF形式:ファイル名「PO_仕入先コード_YYYYMMDD.pdf」)を自動生成します。担当者がExcelに転記してPDFに変換する作業(従来は1件あたり約20分かかるとされています)が不要になります。
仕入先別 納期回答入力ポータル
さらに、FlowSyncで仕入先向けの納期回答入力ポータル画面を内製することで、サプライチェーン全体のデジタル化が完成します。仕入先はメールで届いたURLからポータルにアクセスし、部品ごとの納期回答日と数量を直接入力。回答データはリアルタイムでFlowSyncの調達管理画面に反映され、担当者が電話で納期確認する作業がゼロになります。
・部品番号・品名(読み取り専用で自動表示)
・納品可能数量(入力フィールド)
・納品予定日(カレンダー選択)
・備考欄(遅延理由・代替品提案などの自由記述)
回答完了後、FlowSync側では「納期回答済み」ステータスに自動更新され、未回答の仕入先にはリマインドメールが自動送信される設計も組み込めます。
【After】所要量計算アプリ稼働後の運用変化と定量効果
FlowSyncによる所要量計算アプリを導入した産業機械メーカーのケースでは、以下のような定量的な改善が報告されているとされています。
BOM展開・所要量計算の作業時間:
Before:1受注あたり約45分(手作業)
After:約90秒(FlowSyncが自動処理)
手配ミス・転記ミス件数:
Before:月平均5〜8件のミスが発生
After:月0〜1件(システムによる自動計算のため)
部品欠品による製造遅延:
Before:月3〜4回、製造ラインの着手遅延が発生
After:月0〜1回に激減(正味所要量の正確な把握で先手手配が可能に)
調達担当者の週次業務時間:
Before:所要量計算・手配書作成・納期確認で週20時間消費
After:週6時間(例外対応・仕入先交渉のみに集中可能)
FlowSyncアプリ化の最大の価値は「属人化の解消」にあります。BOM展開ロジックがシステムに実装されることで、ベテラン担当者でなくても同じ品質で所要量計算が実行でき、採用・育成コストの削減にも直結します。工作機械・産業機械業界特有の多品種少量生産モデルにも柔軟に対応できる内製アプリだからこそ、ERPでは埋められなかったギャップを解消できます。
まとめ
- 現状把握:Excelによる手作業BOM展開・所要量計算は転記ミス・在庫情報の鮮度不足・属人化という構造的な課題を抱えており、中小の工作機械・産業機械メーカーでは手配ミスや欠品が常態化している
- 設計の核心:受注確定ボタン→BOM自動展開→正味所要量自動計算→手配指示書PDF自動出力という一連のフローをFlowSyncで内製設計することで、ERPなしでMRP機能を実現できる
- 仕入先連携:仕入先向け納期回答入力ポータルをセットで内製することで、サプライチェーン全体のデジタル化が完成し、電話・FAXによる納期確認作業もゼロにできる
- 定量効果:所要量計算の作業時間を45分→90秒に短縮、手配ミスを月5〜8件からほぼゼロへ。調達担当者が「計算と転記」から「判断と交渉」に専念できる体制を構築できる