製造業DX読了 約6

塗料メーカーのバッチ別原価管理をFlowSyncで内製化|原材料高騰・赤字ロットを自動検知

AAnomaly編集部
目次

「先月のバッチ、いくら儲かったかExcelで集計したら3日かかった。しかも翌月には原材料が値上がりしてて、その数字もう意味ない」——塗料・配合品メーカーの原価担当者なら、こんな経験に思い当たるはずです。


【課題】配合表ExcelとExcel月次集計が抱える限界

塗料・配合品メーカーにおけるバッチ別採算管理は、他の製造業と比べて特有の難しさがあります。製品ごとに配合比率が異なり、同じ製品でも仕入れロットによって原材料単価が変動し、さらに生産ごとに歩留まり(実際に使えた原材料の割合)がばらつく。この3要素が絡み合うため、Excelベースの管理は構造的に破綻しやすい構造を持っています。

よくある現場の実態①:配合表Excelが属人化している

配合マスタがファイルサーバー上に点在し、誰がいつ更新したかの履歴が追えない。製品Aの配合表v3.xlsx、v3_最終.xlsx、v3_最終_確定.xlsxが同一フォルダに並ぶ光景は珍しくありません。

よくある現場の実態②:月次集計が終わるころには情報が陳腐化する

月末締めで原価集計しても、翌月には樹脂・溶剤・顔料の仕入単価が変わっている。「先月黒字だったバッチ」が今月は赤字になっていても、それを検知する仕組みがない状態です。

よくある現場の実態③:バッチ番号と原価データが紐づいていない

製造記録(バッチシート)は紙やPDFで管理され、会計上の材料費とは別システム。トレーサビリティ(どのロットにどの原材料を何kg使ったか)を遡るだけで数時間かかることも。

バッチを打つたびに「このロット、本当に利益出てるのか?」という不安が拭えない。
それが毎月30バッチ、年間360バッチ続いているとしたら、見えない赤字の積み上がりリスクはどこまで膨らんでいるのか。

【設計】FlowSyncでバッチ×配合×歩留まりを一元管理するデータモデル

FlowSyncを使ったバッチ別採算管理アプリの核心は、「配合マスタ」「原材料仕入単価」「バッチ実績」の3テーブルを正規化して結合する設計にあります。これにより、入力された仕入単価が変わった瞬間に全バッチの原価が自動再計算される構造をノーコードで実現できます。

主要テーブルと入力項目の構成

1
配合マスタテーブル:製品コード×原材料×配合比率(%)を登録

入力項目は「製品コード」「製品名」「原材料コード」「理論配合比率(%)」「バージョン番号」。配合改訂のたびにバージョンを上げることで変更履歴が自動保全されます。

2
原材料単価テーブル:仕入日×原材料コード×単価(円/kg)を時系列管理

購買担当者が入力する項目は「仕入日」「原材料コード」「仕入先」「単価(円/kg)」「適用開始バッチ番号」の5項目。FlowSync上の「単価更新ボタン」を押すとその日以降のバッチ原価に自動反映されます。

3
バッチ実績テーブル:製造記録をデジタル入力し歩留まりを自動算出

現場担当者が入力する項目は「バッチ番号」「製造日」「製品コード」「投入量(kg)」「出来高(kg)」「製造ロット番号」。歩留まり(%)はFlowSyncが自動計算し、配合マスタの理論値と差異をリアルタイム表示します。

この3テーブル設計の最大のポイントは「原材料単価が変わるたびに手作業で原価を再計算しなくていい」こと。FlowSyncのリレーション機能で単価テーブルと配合マスタが結合されているため、単価入力の瞬間にバッチ別原価が自動更新されます。


【自動化】赤字バッチを自動検知するダッシュボードの設計術

データモデルができたら、次は「見て終わり」ではなく「アクションにつながる」ダッシュボードの設計です。FlowSyncのダッシュボード機能では、閾値を超えた場合にアラートを表示する条件付き書式とメール通知を組み合わせることができます。

赤字検知ロジック:2段階のアラート設計

アラートレベル1(黄色):採算率が設定マージンを5%以上下回ったバッチ

売価マスタに登録された製品の目標粗利率と実績原価を比較し、差が5ポイント以上になるとダッシュボード上の該当バッチ行が黄色表示。「価格見直し検討」フラグが立ちます。

アラートレベル2(赤色):実際に赤字(原価>売価)になったバッチ

原価合計が売価を上回った瞬間に赤色アラートが発動。FlowSyncのメール通知機能で経営者・営業責任者・製造責任者に自動送信されます。件名は「【要確認】バッチ番号XXXXXX 赤字検知」と自動生成されます。

このアラート設計により、Before:月次Excelで採算を集計→翌月中旬に発覚していた赤字が、After:バッチ完了後30分以内に自動検知・通知されるようになるとされています。月に30バッチ製造する工場では、赤字の発覚が平均25日早まる計算です。


【After】価格転嫁エビデンスをワンクリック出力する実装

原材料高騰が続く2026年の製造業において、塗料・配合品メーカーが顧客への価格転嫁交渉を進めるには「感覚」ではなく「データ」が必要です。FlowSyncで蓄積したバッチ別採算データは、そのまま価格交渉のエビデンス資料になります。

ワンクリック出力できる3種類のレポート

1
原材料価格推移レポート(出力ファイル名:材料単価推移_製品コード_YYYYMM.xlsx)

対象期間・製品を選択して「原材料推移出力」ボタンを押すと、使用原材料ごとの単価推移グラフと金額差分(円/kg)が一覧表示されたExcelファイルが生成されます。従来の集計作業が大幅に短縮されるとされています。

2
バッチ別採算明細レポート(出力ファイル名:採算明細_バッチ番号_YYYYMMDD.pdf)

特定バッチの原材料投入量・単価・歩留まり・製造原価・売価・粗利額を1枚のPDFにまとめたレポート。顧客との交渉テーブルに持参できる形式で出力されます。

3
月次採算サマリーレポート(出力ファイル名:月次採算_YYYYMM.xlsx)

月末に「月次レポート生成」ボタンを押すと、全バッチの採算集計・製品別粗利ランキング・アラート発生件数をまとめたシートが自動作成。経営会議用資料として即使用できます。従来と比べ大幅な時間短縮が見込まれます

FlowSyncでバッチ別採算管理を内製化したある化学品製造業では、月次原価集計工数を大幅に削減できたとされています。さらに赤字バッチの早期発見により、年間で売上比1.2%相当のコスト漏れを防止できたと試算されています(製造規模:月産50バッチ、年商5億円規模の場合)。


内製化で成功するための設計3原則

原則① マスタ管理を徹底する:配合マスタにバージョン管理を組み込む

配合比率の変更は必ずバージョンアップで対応し、過去バッチの原価遡及計算が正確に行えるよう設計します。「最終版Excelで上書き」を禁止することが内製化成功の第一歩です。

原則② 入力負荷を最小化する:現場担当者の入力は5項目以内に絞る

FlowSyncの設計時は「製造現場が毎バッチ入力できるか」をテストします。バッチ番号・製品コード・投入量・出来高・製造日の5項目に絞り、残りはシステムが自動計算する設計が定着率を高めます。

原則③ アラートの受信者を経営層まで引き上げる

赤字バッチの通知を現場担当者だけでなく経営者・営業責任者にも自動送信する設定にすることで、価格改定の意思決定スピードが劇的に速まります。


まとめ

  • 課題の核心:配合表ExcelとExcel月次集計では原材料高騰への対応が構造的に遅すぎる
  • 設計の要点:FlowSyncで「配合マスタ×原材料単価×バッチ実績」の3テーブルを結合すれば、単価変動が即バッチ原価に反映される仕組みが内製で作れる
  • 自動化の効果:2段階アラート設計で赤字バッチの発覚を平均25日前倒しし、月次集計工数の大幅な短縮が期待できる
  • 価格転嫁対応:「原材料価格推移レポート」「バッチ別採算明細」をワンクリック出力し、顧客との交渉エビデンスを即座に用意できる
  • 次のアクション:まず配合マスタのデジタル化と原材料単価テーブルの設計から着手し、FlowSyncで段階的に内製化を進めることを推奨
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