IT導入ガイド読了 約5

FS Blueprintで設備保全・保全サービス業の受注〜部品管理を棚卸しする方法

AAnomaly編集部
目次

受注票は紙、点検履歴はExcelファイル、修繕依頼は電話メモ——設備保全を担う製造業・保全サービス業の現場では、バラバラに存在する情報を担当者が頭の中でつなぎ合わせることで、ようやく業務が回っている状態ではないでしょうか。


設備保全業務の現状:なぜ情報が分断されるのか

設備保全メーカー・保全サービス業の業務は、一見シンプルに見えて非常に複雑です。受注の瞬間から採算集計まで、複数の担当者・複数の媒体をまたいで情報が流れるため、「どこに何があるか分からない」という状態が慢性化しています。

現場でよく見られる情報分断の例

受注票:FAXやメールを担当者が手書きで転記

点検履歴:担当者ごとに異なるExcelフォーマット。ファイル名は「点検記録_2025_田中_最終版v3.xlsx」

修繕依頼:電話口頭 → 付箋 → 後でまとめてメール

部品発注:在庫確認は担当者が倉庫へ行って目視確認

この状態でDXを検討しようとすると、「どの業務から手をつければいいか分からない」という壁にぶつかります。そこで活用できるのが、FS Blueprint(エフエス・ブループリント)による業務棚卸ワークショップです。半日(約4時間)で優先順位を決め、FlowSyncによる内製化のロードマップを描くことができます。


STEP 1:設備保全の8ステップ業務フローを一覧化する

FS Blueprintでは最初に、業務全体を「ステップ単位」で洗い出します。設備保全業務の場合、以下の8ステップが標準的な流れです。

1
受注登録

顧客からの依頼を受け、受注番号・設備名・担当者・希望日程を登録する。現状は紙の受注票への手書きが主流。

2
設備台帳照合

受注した設備の型番・設置場所・前回点検日・保証期間をExcelの設備台帳で確認する。ファイルが複数存在し、最新版の特定に平均15分かかるケースも。

3
点検スケジュール発行

担当者・訪問日・対象設備を組み合わせたスケジュール表を作成。Excelで手動作成するため、変更のたびに全員へのメール配信が必要。

4
点検記録入力

現場でチェックリストに手書き記録 → 事務所に戻ってExcelへ転記。1件あたり平均35分の作業時間とされています。

5
異常検知・フラグ管理

点検時に発見した異常を「要対応」「経過観察」に分類。現状はセルの色塗りで管理しており、フラグの見落としが月平均2〜3件発生するとされています

6
修繕依頼

異常が見つかった場合、修繕チームへ依頼を起票。紙の依頼書またはメールで送付し、進捗確認は電話。

7
部品発注・在庫管理

修繕に必要な部品を発注。在庫数はExcelで管理しているが更新が追いつかず、「あると思ったらなかった」という発注漏れが月3〜5件発生するとされています

8
採算集計・請求処理

工数・部品費・交通費を集計して請求書を作成。担当者が変わると集計方法が変わるため、月次締め作業に丸1日かかるケースも。


STEP 2:3軸スコアリングで優先順位を半日で決める

8ステップを洗い出したら、次はFS Blueprintのワークショップ形式で各ステップを評価します。評価軸は以下の3つです。

優先順位スコアリングの3軸
発生頻度:週次・日次など、どれだけ頻繁に発生するか(1〜5点)
業務影響度:ミスや遅延が顧客・収益・安全にどれだけ影響するか(1〜5点)
属人化リスク:担当者が不在だと業務が止まる度合い(1〜5点)
→ 3軸の合計スコア(最大15点)で内製化の優先度を判断

FS Blueprintのワークショップでは、現場担当者・管理者・ITリード(または社内のキーパーソン)の3〜4名が付箋とホワイトボード(またはオンラインホワイトボード)を使い、各ステップにスコアをつけて合計点を算出します。このプロセスが約2時間。残りの2時間でロードマップの骨子を作成します。

「点検記録はほぼ毎日発生し、フォーマットが人によって違うから引き継ぎができない。スコアは15点満点中13点だった」——こうした「見えていた課題が数字で明確になる」体験がワークショップの最大の価値です。

STEP 3:FlowSync移行対象を特定し、ロードマップを決める

スコアリングの結果、設備保全業務で上位に来やすいのは次の3つです。これらをFlowSyncによる内製化の第一フェーズとして着手することを推奨します。

内製化優先ターゲット①:点検記録入力アプリ

Before:現場で紙チェックリストに手書き → 帰社後にExcelへ転記。1件35分。

After:FlowSyncのモバイル入力画面でその場でタップ入力。項目は「設備名(プルダウン)」「点検項目(チェックボックス)」「計測値(数値入力)」「写真添付(カメラボタン)」「異常フラグ(正常/要観察/要対応の選択肢)」の5構成。入力後に「点検記録_確定」ボタンを押すと自動でサーバーへ保存。1件5分に短縮(35分→5分)とされています

内製化優先ターゲット②:異常フラグ管理画面

Before:Excelのセル色塗りで「要対応」を管理。ファイルを開かないと気づかない。

After:FlowSyncの一覧画面に「異常フラグあり」の件数バッジが表示。担当者名・設備名・検知日・対応期限が一覧化され、「修繕依頼起票」ボタンをクリックするとそのまま依頼フォームへ遷移。見落とし件数が月2〜3件→ほぼゼロに。

内製化優先ターゲット③:部品発注残管理

Before:Excelの在庫表を手動更新。発注漏れ・二重発注が月3〜5件とされています。

After:FlowSyncの部品管理画面で在庫数をリアルタイム更新。部品名・在庫数・発注点・発注残数・入荷予定日が一覧表示され、在庫が発注点を下回ると自動アラートメールが送信される。発注漏れが月3〜5件→月0〜1件に改善。出力ファイルは「発注残一覧.csv」として経理・購買担当者と共有可能。


ロードマップ:第一フェーズ完了後の展開

第一フェーズ(点検記録・異常フラグ・部品発注残)を内製化した後、スコアリング結果に基づいて第二フェーズ以降を計画します。

第二フェーズ以降の候補

受注登録〜設備台帳照合の連携:受注番号を入力すると設備台帳情報が自動表示

採算集計の自動化:点検記録・修繕工数・部品費が自動集計され、「月次採算レポート.pdf」を自動生成

定期点検スケジュール自動生成:設備台帳の前回点検日から次回点検日を自動算出し、担当者に通知

FS Blueprintのワークショップアウトプットとして、優先順位スコア一覧・ロードマップ図・各ステップの現状課題メモが「業務棚卸シート(Excel形式)」として出力されるため、社内共有や経営判断の資料としてそのまま活用できます。


まとめ

  • 設備保全業務の情報分断は「受注〜採算集計の8ステップ」を棚卸しすることで全体像が初めて見える
  • FS Blueprintの半日ワークショップ(発生頻度×業務影響度×属人化リスクのスコアリング)で、FlowSync内製化の優先順位を客観的に決定できる
  • 最初に着手すべきは「点検記録入力・異常フラグ管理・部品発注残管理」の3機能。記録作業を35分→5分に短縮し、見落としや発注漏れを大幅に削減できるとされています
  • 第一フェーズの成功体験を積み上げながら、大規模投資なしで段階的に設備保全DXを進めることが中小製造業・保全サービス業に最適なアプローチ
一覧に戻る

製造業のDXでお悩みですか?

Anomalyでは、製造業に特化した業務アプリケーション開発を行っています。まずはお気軽にご相談ください。