製造業DX読了 約5

樹脂・射出成形メーカーがFlowSyncで製品別原価を内製管理|材料費高騰と成形チャージ上昇を自動検知して赤字案件を撲滅する設計術

AAnomaly編集部
目次

「先月の原価、またExcelで集計し直しですか?」——材料費が上がるたびに担当者が深夜まで手入力を繰り返し、気づけば赤字案件が月をまたいで見逃されている。樹脂成形・射出成形メーカーの製品別原価管理は、2026年のコスト急騰局面においてもまだ"人手頼み"の現場が多いのが実情です。


【Before】月次Excelで手集計する金型別・製品別原価の限界

射出成形の原価は複雑です。材料費(樹脂グレード別の仕入れ単価)、成形チャージ(1ショットあたりの機械費用)、金型償却費、不良廃棄ロス——これらが製品ごとに異なる金型を通じて発生し、月次でひとつひとつ積み上げなければなりません。

現場でよく起きている"3つのタイムラグ"

①材料費改定の反映遅れ:樹脂メーカーの値上げ通知が届いてもExcelの単価マスタを更新するのは翌月末。その間、旧単価で受注・出荷が続く。

②不良ロスの見落とし:ショット記録と廃棄数は別ファイルで管理されており、突き合わせる工数が膨大。月次集計時にしか全体像が見えない。

③金型別の採算格差が不明:同じ製品でも老朽金型と新型では不良率・サイクルタイムが異なるが、Excel上ではひとつの製品コードに合算されてしまう。

「材料費高騰で採算が悪化している製品がある、でもどの金型・どの受注先が原因か分からない」——この状況が続く限り、値上げ交渉の根拠も出せなければ、損切りの判断もできません。

特に中小の射出成形メーカーにとって、製品別原価管理を月に1度しか更新できない仕組みは、材料費高騰・成形チャージ上昇が常態化する現在の市場環境と致命的にミスマッチです。


【FlowSync設計術】金型×製品×材料×チャージを紐付けて粗利率を自動計算する

FlowSyncで内製する原価管理アプリの核心は、4つのマスタと1つのトランザクションを正しく連携させることです。

1
金型マスタ:金型番号をキーに全コストを集約

入力項目:金型番号・製品コード(複数紐付け可)・キャビ数・平均サイクルタイム(秒)・償却残額・金型メンテ費用累計。金型番号が原価計算の「起点」となるため、このマスタの精度がすべての計算に直結します。

2
材料マスタ:樹脂グレード別の仕入れ単価をリアルタイム更新

入力項目:材料コード・樹脂グレード名・比重・仕入れ単価(円/kg)・有効開始日。「有効開始日」フィールドを設けることで、値上げ前後の単価を時系列で保持し、過去受注分の原価を遡って正確に再計算できます。

3
成形チャージテーブル:マシン別・時間帯別の費用を自動参照

入力項目:マシンID・型締力(トン)・1時間あたり成形チャージ(円)・適用開始日。成形チャージはサイクルタイム(秒)÷3600×チャージ単価で1ショットあたり費用に自動換算。製品ごとに「使用マシン」と「金型マスタ」が連携しているため、マシン変更時も自動で原価が更新されます。

4
生産実績トランザクション:ショット数・不良数を日次で記録

入力項目:日付・金型番号・良品数・不良数・廃棄樹脂重量(kg)。「不良廃棄ロス原価」ボタンを押すだけで「廃棄重量×材料単価」が自動計算され、製品別の実質原価に加算。月次ではなく日次で不良ロスが見えることが最大の改善点です。

FlowSync上の計算式のイメージ:
製品1個あたり原価=(材料費+成形チャージ+金型償却費+不良廃棄ロス按分)÷良品数
この計算がマスタ更新のたびに全製品・全金型で自動再計算されるため、「材料費を入力したら翌日には全製品の粗利率が更新済み」という状態が実現します。


【After】赤字案件アラートと値上げ交渉根拠を一画面で確認する

取引先別・製品別の粗利率ランキング画面

FlowSyncのビュー機能で「製品別粗利率一覧」を構築すると、受注単価と計算済み原価の差分から粗利率を自動表示。取引先軸・製品コード軸・金型番号軸でフィルタリングでき、「粗利率5%未満」の行を赤く自動着色するアラートルールを設定すれば、担当者が一画面で要注意案件を即認識できます。

定量的な Before→After 比較

原価集計作業:月1回・約6時間の手作業 → 日次自動更新・確認は5分以内

赤字案件の発見タイミング:月末締め後(平均20日遅れ) → 翌営業日朝(最大24時間以内)

値上げ交渉用資料の作成:1件あたり約3時間のExcel加工 → 「原価シミュレーション出力」ボタン1クリック・PDF自動生成(約30秒)

材料費高騰影響シミュレーション機能

材料マスタに「仮想単価」フィールドを追加し、「+○%値上げ時の全製品粗利率」をシミュレーションするビューを作成します。出力ファイル名は 原価シミュレーション_YYYYMMDD.pdf で自動命名。「現状粗利率」「値上げ後粗利率」「必要値上げ単価」の3列が並ぶ表を取引先別に自動生成するため、値上げ交渉の場で根拠として即提示できます。


【内製化のポイント】段階導入で現場負担を最小化する手順

フェーズ1(1〜2週間):マスタ整備から始める

既存Excelから金型マスタ・材料マスタをFlowSyncにインポート。まず「材料費×成形チャージ」だけで製品別原価を計算するシンプルな構成でスタートします。不良ロスや金型償却は後回しにすることで、現場の入力負担を抑えながら早期に粗利率の可視化を実現できます。

フェーズ2(3〜4週間):日次生産実績の入力を定着させる

タブレットから金型番号を選択→良品数・不良数を入力→送信、という3ステップの入力フォームを現場に配備。入力に要する時間は1回あたり約2分。月次6時間の集計作業と比較すれば、現場側の総負担はむしろ大幅に減少します。

フェーズ3(5〜8週間):アラートと出力帳票を追加する

粗利率アラートの閾値設定・シミュレーション出力機能・取引先別レポートの自動生成を順次追加。FlowSyncは追加開発をノーコード/ローコードで行えるため、外部ベンダーへの都度発注が不要。社内のIT担当者が段階的に機能を拡張できます。


まとめ

  • 課題の核心:月次Excel集計では材料費高騰・不良ロスによる赤字案件を発見するのが常に20日以上遅れる
  • FlowSyncの設計術:金型マスタ・材料マスタ・成形チャージテーブル・生産実績の4層構造で製品別粗利率を自動計算し、マスタ更新が即座に全製品原価に反映される
  • 定量効果:原価集計作業を月6時間→日次5分へ短縮、赤字案件発見を翌営業日以内に前倒し、値上げ交渉資料を約3時間→30秒で自動生成
  • 内製化の進め方:フェーズ1でマスタ整備→フェーズ2で日次入力定着→フェーズ3でアラート追加という段階導入でリスクを最小化
  • 次のアクション:自社の金型マスタと材料マスタをExcelで書き出し、FlowSyncへのインポート可否を確認することが最初の一歩
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