「原材料が上がっているのに、どの製品がどれだけ赤字になっているか、月末の集計が終わるまで分からない——」そんな状況で取引先への値上げ交渉を迫られている塗料・化学品メーカーの経営者・製造管理担当者は、今まさに原価管理のデジタル化を真剣に検討すべき局面にあります。
【Before】配合台帳はExcel・原材料費高騰を転嫁できない実態
多くの中小塗料・化学品メーカーでは、配合管理と原価管理が別々のExcelファイルで運用されています。配合台帳・原材料仕入台帳・製品別売価リストがバラバラに存在し、原材料価格が改定されるたびに担当者が手作業でセルを修正していく——これが現場の実態です。
① 原価反映に時間がかかる:原材料の仕入価格が変わっても、全製品の試算が完了するまで平均3〜5営業日かかるとされています。その間に受注判断を迫られる場面も。
② 配合変更が原価に連動しない:試作や品質改善で配合を変えても、原価への影響が反映されないまま出荷価格が据え置かれるケースが発生する。
③ 値上げ交渉の根拠資料が作れない:「何の原材料が何円上がったから製品価格を○%引き上げたい」という具体的なエビデンスを帳票化するのに、都度1〜2時間の手作業が必要になるとされています。
「原価が見えているかどうか」という情報インフラの問題です。
月次Excelでは、値上げ交渉のタイミングに間に合わない。
【データ設計】FlowSyncで作る配合別原価テーブルの構造
FlowSyncを使って配合別・製品別の採算原価管理アプリを内製する際、まず設計すべきは「配合別原価テーブル」です。このテーブルが全ての原価計算・粗利算出・帳票出力の起点になります。
テーブルの基本構成要素
製品コード(例:PCG-2201)と配合番号(例:FORM-045)を紐付けたマスタを設計します。1つの製品に複数配合バージョン(改良前・改良後)を持たせることで、配合変更時の原価比較がワンクリックで可能になります。
各配合ライン(樹脂・顔料・溶剤・添加剤など)の使用量と仕入単価をかけ合わせた原材料費合計を自動計算。さらに、バッチ生産特有の廃棄ロス率(%フィールド)と加工費(工数×時間レート)を加算し、製品1kg・1缶あたりの実際原価を算出します。
売価マスタと原価テーブルをリレーションで接続し、粗利率フィールド=(売価-実際原価)÷売価×100 を自動計算。入力項目は「仕入単価」「使用量(kg)」「廃棄ロス率(%)」「加工費単価」のみで、残りはすべてFlowSyncの数式フィールドが処理します。
設計のポイント:原材料マスタテーブルの「最新仕入単価」フィールドを更新するだけで、そのマスタを参照しているすべての配合・製品の原価と粗利率が即時に再計算されます。Excelのように全シートをVLOOKUPでつなぎ直す必要は一切ありません。
【After】配合変更・価格改定を即時反映するダッシュボード設計
FlowSyncで配合別原価テーブルを構築すると、現場の運用がどう変わるかを具体的に見ていきましょう。
原材料価格改定の反映スピード比較
Before(Excel運用):担当者が仕入台帳・配合台帳・製品原価シートを順番に修正 → 平均3営業日・約180分の作業工数がかかるとされています
After(FlowSync運用):原材料マスタの「仕入単価」を1件更新するだけで全製品の原価・粗利率が自動再計算 → 大幅な時間短縮が見込まれます
取引先別・製品別粗利率ダッシュボードの構成
FlowSyncのビュー機能を使い、以下の画面遷移で粗利状況を把握できます。
① 取引先別粗利サマリ画面:取引先×製品の粗利率を一覧表示。赤字製品(粗利率0%以下)は自動で赤色ハイライト。
② 製品詳細ドリルダウン画面:製品名をクリックすると配合番号・原材料費内訳・加工費・廃棄ロスの明細が展開。どのコストが粗利を圧迫しているかが一目で分かります。
③ 採算悪化アラート:粗利率が設定閾値(例:10%)を下回った場合、担当者にFlowSync上の通知と「要確認フラグ」ボタンが表示され、営業担当へのエスカレーションを記録できます。
「原材料価格が変わった瞬間に採算悪化を検知する」へ——
これが内製リアルタイム可視化の最大の価値です。
【価格転嫁】FlowSyncで値上げ交渉帳票を自動生成する手順
原材料高騰時代において、取引先への価格転嫁交渉を成功させるには「具体的な数値エビデンス」が不可欠です。FlowSyncでは、配合別実際原価データを元にした値上げ交渉帳票を自動生成する仕組みを構築できます。
帳票自動生成の手順
値上げ交渉帳票の出力画面で「取引先名」「対象製品コード」「比較期間(改定前/改定後)」のドロップダウンを選択します。入力はこの3項目のみです。
FlowSync上の「価格改定根拠書類を出力」ボタンを押すと、配合別原価テーブルから自動でデータを集約。原材料ごとの単価推移・配合比率・原価変動額・影響額(円/kg)が自動計算されて帳票に反映されます。
出力されるファイル名は「価格改定依頼書_[取引先名]_[製品コード]_[年月].pdf」形式で自動命名。帳票内には①原材料別コスト増加額、②配合比率グラフ、③現行価格・提案価格・粗利率の比較表が含まれます。担当者が一から作成していた場合と比べ、大幅な作業時間の短縮が見込まれます。
帳票に記載される数字はすべてFlowSync内の実際原価データから自動生成されるため、「担当者の試算ミス」や「古い単価での計算」といったヒューマンエラーが原理的に発生しません。値上げ交渉の信頼性が格段に向上します。
まとめ
- Excel配合台帳の限界:原材料高騰の原価反映に3営業日かかるとされる月次運用では、価格転嫁交渉のタイミングに間に合わない
- FlowSync内製設計の核心:製品コード×配合番号×原材料マスタのリレーションを構築することで、仕入単価の更新1件が全製品原価に即時反映される
- ダッシュボード効果:取引先別・製品別の粗利率をリアルタイム可視化し、採算悪化アラートで早期対応が可能になる
- 価格転嫁の武器:配合別実際原価データから値上げ交渉帳票を自動生成し、根拠ある価格改定交渉を実現できる