「先月も赤字だったのか——」と月次のExcel集計を開いて初めて気づく。天然ゴム・合成ゴムの価格が急騰する2026年、品番別の採算が翌月まで見えない構造は、ゴム製品メーカーにとって致命的なリスクになっています。
原材料高騰が採算を直撃しているのに、なぜ「翌月」まで気づけないのか
2026年に入り、ナフサ価格の高騰を背景に合成ゴム・天然ゴムの市況が急上昇しています。SBR(スチレンブタジエンゴム)やNBR(ニトリルブタジエンゴム)など汎用合成ゴムの仕入れ単価が前年比で15〜20%上昇したケースも報告されているとされており、製品価格に転嫁できなければ粗利率は一気に圧縮されます。
現状の多くの現場では、製造実績・材料仕入れ・廃棄ロスをそれぞれ別のExcelファイルで管理しており、品番別の採算を出すためには担当者が手作業で数値を突き合わせます。この集計作業だけで月4〜6時間を要するとされており、しかも結果が出るのは翌月10日前後とも言われています。原材料が高騰したその月の赤字品番が判明するのは、さらに1か月後という事態が起きています。
FlowSyncで設計する「1レコード完結型」採算原価データ構造
FlowSyncによる採算管理アプリの核心は、取引先コード・品番・配合番号・材料費・加工費・廃棄ロスを1レコードに集約するデータ設計にあります。これにより、集計のためのファイル横断作業が不要になります。
入力項目の設計
取引先コードと品番を複合キーとして設定し、同一品番でも取引先ごとに売価・採算が異なる構造に対応します。配合番号フィールドを持たせることで、天然ゴム・合成ゴム・副資材それぞれの配合比率と仕入単価の掛け算を自動化できます。
材料マスタから当月仕入単価を参照する設計にすることで、仕入単価を1か所更新するだけで全品番の材料費が自動再計算されます。高騰の影響が即日全品番に反映されるため、「今月から赤字になった品番」をリアルタイムで検知できます。
成形・加硫・仕上げの各工程の加工費と、廃棄ロス率(%)を入力フィールドとして持たせます。廃棄ロスは「廃棄ロス率 × 材料費合計」で自動計算され、ロスの多い工程による原価膨張も品番単位で可視化されます。
FlowSyncのフォーミュラ機能を使えば、「粗利額 = 売価 − 材料費 − 加工費 − 廃棄ロス費」「粗利率 = 粗利額 ÷ 売価 × 100」の計算式をノーコードで設定できます。Excelの関数知識がなくても、社内のIT担当者だけで内製・メンテナンスが完結する設計が可能です。
After画面:ダッシュボードで「今日の採算」を一画面確認
データ構造が整うと、FlowSyncのビュー機能を使って以下の3つのダッシュボードパネルを構成できます。すべてリアルタイム反映のため、朝の材料仕入れ単価を更新した直後から採算変化が確認できます。
取引先コードでグループ集計した粗利率を棒グラフで並べます。粗利率が設定閾値(例:15%)を下回る取引先には赤色のアラートバッジが自動表示される設定にすることで、要対応先が一目で判別できます。
前月比で粗利率が3ポイント以上低下した品番を自動抽出して一覧表示します。品番・取引先・低下幅・主因(材料費 or 廃棄ロス)が並び、「アラート確認」ボタンを押すと品番別の詳細原価内訳画面に遷移します。
合成ゴム単価を「現在値 + X%」で仮入力すると、全品番の粗利率がその仮定値で即時再計算されます。「合成ゴムがさらに10%上がったら何品番が赤字転落するか」を交渉前日に5分でシミュレーションできます。
導入前の状態と比較すると、採算確認にかかる時間は月4〜6時間 → 日次5分以内に短縮され、赤字品番の発見タイミングは翌月10日前後 → 当日に変わります。
価格転嫁交渉への活用:ワンクリックで根拠レポートを出力する運用フロー
採算データが整備されると、価格交渉の準備工数も劇的に変わります。従来は営業担当者がExcelを手作業で整形し、交渉資料の作成に2〜3時間かかっていたとされる工程が、以下のフローに変わります。
ダッシュボードの取引先一覧から対象先を選び、「品番別実際原価レポート出力」ボタンをクリック。取引先別に絞り込まれた品番ごとの売価・材料費・加工費・廃棄ロス・粗利率が記載されたPDFファイル(ファイル名例:「原価レポート_取引先コード_YYYYMMDD.pdf」)が自動生成されます。
材料費高騰シミュレーターの画面をそのまま画面共有するか、スクリーンショットを添付することで、「現在の仕入単価ではこの品番は粗利率○%まで低下している」という数値根拠を即日提示できます。感覚的な値上げ要請ではなく、実際原価に基づく交渉が可能になります。
値上げが合意された品番の売価を売価マスタ画面で更新すると、その場で粗利率が再計算されます。交渉結果の反映から採算確認まで10分以内に完了し、値上げ効果をその日のうちに数値確認できます。
導入ステップの目安
FlowSyncによる採算管理アプリの内製は、以下のステップで進めます。1材料マスタ・品番マスタ・取引先マスタの整理(1〜2週間)→ 2FlowSyncでデータ構造と入力フォームを構築(2〜3週間)→ 3過去3か月分のデータを移行し、計算結果を検証(1週間)→ 4ダッシュボードとレポート出力機能を追加(1週間)。最短6〜7週間で本番稼働を目指せます。
まとめ
- 課題の核心:月次Excel集計では合成ゴム・天然ゴム高騰による品番別赤字の発見が翌月になり、価格転嫁の機会を逃す
- FlowSync設計のポイント:取引先コード・品番・配合番号・材料費・加工費・廃棄ロスを1レコードに集約し、仕入単価更新で全品番の採算を自動再計算する構造が核心
- 定量効果:採算確認工数が月4〜6時間 → 日次5分に短縮、赤字発見タイミングが翌月 → 当日に前倒し
- 価格転嫁への直結:「品番別実際原価レポート出力」ボタンでワンクリック出力し、数値根拠を持って即日交渉テーブルに臨める運用を実現
- 内製化の実現性:FlowSyncのノーコード設計により、最短6〜7週間で社内IT担当者だけで構築・メンテナンス可能なシステムを立ち上げられる