製造業DX読了 約4

中小製造業のIoT導入、最初は測定値1つに絞る

AAnomaly編集部
目次

中小製造業のIoT導入、成功の鍵は「測る値を1つに絞る」こと

「うちも設備にセンサーを付けて見える化しよう」——展示会や商工会のセミナーでIoTの話を聞き、そう意気込んだものの、検討を進めるうちに話が大きくなりすぎて結局立ち消えになった。そんな経験はないでしょうか。


現場のあるある:話が大きくなって止まるIoT導入

中小製造業のIoT(Internet of Things=設備や機器をネットワークにつなぎ、稼働状況などのデータを収集・活用する仕組み)導入でよく見られるのが、次のようなパターンです。

「どうせやるなら全設備にセンサーを付けよう」
「稼働率も温度も振動も電力も、全部データを取っておきたい」

経営会議や設備投資の稟議では、こうした「一気に全体を見える化したい」という発想が出やすいものです。しかし、対象設備が増えるほど必要なセンサーの種類・数が膨らみ、見積もりも複雑化し、担当者の負荷も跳ね上がります。結果として、稟議が通らない、あるいは通っても現場が対応しきれず、プロジェクトが立ち消えになるケースが少なくありません。


なぜ最初の1指標に絞るべきなのか

失敗パターン:複数指標を同時に集めてしまう

稼働率・温度・振動・電力など複数のデータを同時に取り始めると、それぞれの数値が「何を意味するのか」「異常値はどこか」という分析設計が追いつかなくなります。

結果、データはクラウド上に蓄積されるだけで誰も見なくなり、月次コストだけが発生する「放置システム」になってしまいます。

IoT導入の解説記事や事例で共通して強調されているのは、いきなり全社・全設備に展開せず、まずは一部の製造ラインや機械1〜2台に絞ってセンサーを取り付け、PoC(Proof of Concept=小規模な検証・実証実験)を実施するという進め方です。小さく始めて効果を確認し、そこから段階的に広げるほうが、投資判断もしやすく、現場の納得感も得やすくなります。


何を測るべきか:ボトルネック工程を狙う

測定対象の候補としてよく挙がるのは、稼働率・停止時間・振動・温度・電力の5つです。すべてを測ろうとするのではなく、まずは工場全体の生産性を左右しているボトルネック工程の1〜2台に絞り込むことが判断のポイントになります。

1
工程全体を止めている設備はどこか

他の工程がどれだけ速く動いても、そこが詰まれば全体の生産量が決まってしまう設備を特定します。

2
停止・遅延が「見えていない」設備か

担当者の感覚では把握できているつもりでも、実際の稼働率や停止時間を数値で示せない設備は優先候補です。

3
後付けセンサーで測定できるか

制御盤の改造が必要な設備よりも、磁石で貼り付けるだけの無線センサーで測れる設備の方が、PoCのハードルが低くなります。

まず「稼働しているか、止まっているか」という最もシンプルな稼働率から始め、待機電力を含めた電力測定を同じゲートウェイ(複数のセンサーからデータを集めてクラウドに送る中継機器)で取得する構成が、最初の一歩として現実的です。


最小構成の作り方:無線センサーと後付けから始める

最小構成のIoT導入では、以下のような機材構成が現実的な選択肢になります。

構成例① 振動・稼働検知センサー

設備の外側に磁石で貼り付けるだけの無線センサーを使い、モーターの振動から稼働・停止を判定します。配線工事が不要なため、既存設備への後付けが可能です。

構成例② 電力測定ユニット

分電盤やコンセント部分に取り付けるクランプ式の電力センサーで、稼働時と非稼働時の電力差から停止時間を推定できます。

構成例③ クラウド可視化ダッシュボード

収集したデータはクラウドサービスに送信し、稼働率や停止時間の推移をグラフ表示する画面(ダッシュボード)で確認します。日報を紙やExcelに手書き・手入力していた工程を、ダッシュボード上の自動集計に置き換えることができます。

Before(紙・Excelでの管理):現場担当者が1時間ごとに設備の稼働状況を目視確認し、日報用紙やExcelシートに手書き・手入力。月末に管理者がそれを集計して稼働率を算出。
After(業務アプリ画面での可視化後):無線センサーが自動で稼働・停止を検知し、クラウドダッシュボードの「稼働率」タブにリアルタイムでグラフ表示。管理者は「日次レポート出力」ボタンを押すだけでCSVファイル(例:operation_report_202405.csv)をダウンロードできる状態になります。手書き記録から手入力・月次集計という転記工程が1本減る形です。

1〜2台のPoCであれば、センサー機材とクラウド利用料を合わせて数十万円〜100万円程度の予算感で検証できる構成が多く紹介されています。まずは小さな投資で「データが業務判断に使えるか」を確認することが重要です。


1指標が定着したら次に広げる順序

稼働率の可視化が現場に定着し、日々の朝会やミーティングで参照される習慣ができたら、次の段階に進みます。段階的な拡張の順序としては、以下のような流れが考えられます。

1
稼働率の可視化(第1段階)

まずは「動いているか、止まっているか」だけを見える化し、日々の運用に定着させます。

2
停止理由の分析(第2段階)

停止イベントが発生した際に、理由(段取り替え・故障・材料待ちなど)を入力項目として画面から選択・記録し、停止時間の内訳を分析します。

3
品質データの統合(第3段階)

温度・振動などのデータと不良発生率を突き合わせ、品質改善につなげる分析設計に発展させます。

このように「測る→分析する→制御する」という段階を踏んでスマートファクトリー化を進める全体設計については、中小製造業におけるスマートファクトリー化の3段階アプローチで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。


まとめ

  • 要点1:中小製造業のIoT導入は、全設備・全指標を一度に測ろうとしないことが成功の第一歩
  • 要点2:ボトルネック工程の1〜2台に絞り、まずは稼働率から無線センサーで後付け計測を始める
  • 要点3:1指標が定着したら停止理由分析、品質データへと段階的に拡張する設計が、放置されないIoT活用につながる

本記事はAIを活用して作成しています。内容についての責任は当社が負います。AI活用ポリシー